労働基準監督署は企業が労働基準法を守っているかどうかを監督する機関です。労働者から、労働基準法違反に対する訴えがあった時は、労働基準監督官による立入調査を行う権限を持っています。
その結果、万が一、労働基準法に違反していることが発覚した場合、企業は是正勧告を受け、それに対して、改善したことを報告することを求められます。無視したり、虚偽の報告をした場合には検察庁に送検されたりすることもあり得ます。
平成23年10月、厚生労働省は「監督指導による賃金不払残業(いわゆるサービス残業)の是正結果」を発表しました。これは、労働者からの申告や定期的な調査で発覚し、是正指導したもののうち1企業当たり100万円以上の割増賃金が支払われた事案の状況を取りまとめたものです。それによると平成22年度の是正金額(支払われた割増賃金)は合計で約123億円にものぼっています。
このような中、労働基準監督署では、過重労働やいわゆるサービス残業に対する取締を強化しています。また、最近では、「名ばかり管理職」がクローズアップされて、ますます指導は厳しくなっています。
加藤社会保険労務士事務所では、是正勧告を未然に防ぐ対策や、受けてしまった場合の対応についてご支援いたします。
労働基準監督署の調査に、「定期監督」「申告監督」と呼ばれるものがあります。これらは「臨検(りんけん)」とも呼ばれますが、どちらも労働基準関係法令の遵守状況を訪問または労基署への呼び出しにより確認し、法令違反があった場合は是正勧告を行う、というものです。調査は、賃金台帳や出勤簿などを持参して出頭するよう命じられたり、労働基準監督官が、事業所に突然立ち入り調査したりする方法で行われます。それぞれの特徴として、次のようなものがあります。
調査の結果、法令違反があれば期限を定めて是正を求められます。
例えばサービス残業の実態が明らかになれば、過去2年分の全従業員に対する残業代を支払うよう是正勧告を受けることもあり得ます。従業員数が多い場合には、金額は多額となり、経営的な危機に陥る可能性もあります。万が一、是正勧告を受けてしまった場合には、指定された期日までに、法律違反を是正し、申告する必要があります。
また、労働基準監督官は、法令違反について、刑事訴訟法による司法警察官の職務を行うことができます。これは、重大な法違反や、是正勧告に対して改善する見込みがなく、悪質と見なされた場合に、司法警察権を行使して送検手続きをとることができるというものです。
1人の従業員が、例えばサービス残業について申告した場合には、賃金台帳やタイムカードなどの帳簿類を調べられますが、調査は申告者名を伏せて行われるために、その従業員の分だけでなく、全従業員について調べられます。つまり、調査を受けた場合には、申告内容そのものだけでなく、他の違反が発覚してしまうリスクがあります。是正勧告を受けないようにするには、自社の労働条件等について、定期的にチェックを行い、不適切な部分があれば、改善していくことが必要です。特に次のような事項は、この機会に点検してみると良いでしょう。
上記のような点検を行うと共に、就業規則も定期的に見直し、実態に合ったものに整備しておくことがポイントです。
社会保険労務士法人かとう事務所は、全国社会保険労務士連合会より、社会保険労務士個人情報保護事務所の認証(SRP認証)を受けました。
社会保険労務士
個人情報保護事務所認証
(SRP認証は、個人情報保護に対して高い意識と適正な知識を持って、業務に取り組んでいる事業所に与えられる「信用・信頼」 の証です。)