就業者全体に対するパートタイマーなど非正規労働者の割合は、正社員に比べ大きく増加しています。一般的に「パートタイマー」と呼ばれている労働者は、その雇用形態によって、社会保険や雇用保険等の適用基準が異なります。
どのような基準でこれらの制度が適用されているのか、どのような管理をすべきかを次に説明します。
「短時間労働者の雇用管理の改善等に関する法律」において、「一週間の所定労働時間が同一の事業所に雇用される通常の労働者の一週間の所定労働時間に比し短い労働者」と定義づけられています。
パート社員も含めて常時使用する労働者が10人以上の場合は、労働基準法の規定により、就業規則の作成・届出義務が生じますが、その就業規則をパート社員に適用させないときには、別途「パート社員就業規則」の作成・届出を行う必要があります。
パート社員の出勤日数や勤務時間が少ない場合でも、労基法上一定の日数の年次有給休暇を比例的に付与しなければなりません。比例付与の対象となるのは、一週間の所定労働日数が4日以下(1年間の所定労働日数216日以下)、かつ一週間の所定労働時間が30時間未満の者です。
これ以上の勤務日数・労働時間のパート社員は、正規社員と同じ有給日数を付与しなければなりません。
労災保険は、パート社員は勤務時間等に関わらず適用になります。また、雇用保険では、次の要件を満たせば被保険者となります。
パート社員であっても、一週間の勤務日数がその会社で働いている正規社員の勤務日数の4分の3以上であるとき、1日の所定労働時間がその会社で働いている正規社員の勤務時間の4分の3以上であるときは適用となります。たとえ、年収が少ない場合でも、また所得税の配偶者扶養控除等の対象となっていた場合でもこれら2つの要件を満たしていれば適用になります。
この機会にパート社員の勤務実態の確認、見直しを行ってみてはいかがでしょうか。
平成20年4月1日より短時間労働者の雇用管理の改善等に関する法律(パートタイム労働法)が改正されていますので、パートタイマーの雇用管理をされるときには注意が必要です。次に概要を説明します。
労働基準法では、パートタイマーも含めて労働者を雇い入れる際には、「契約期間」「仕事をする場所と仕事の内容」「賃金」等の労働条件を明示することが義務付けられています。改正パートタイム労働法ではこれらに加えて、特にトラブルになりやすい「昇給の有無」「退職手当の有無」「賞与の有無」の3の事項を文書の交付等により明示することとされています。
パートタイマーがその能力を有効に発揮するためには、自分の待遇について納得して働くことが重要であることから、パートタイマーから求められた場合、使用者は待遇の決定に当たって考慮した事項について説明しなければなりません。
パートタイムタイマーの「職務の内容(業務の内容と責任の程度)」「人材活用の仕組みや運用等」「契約期間」といった働き方が通常の労働者と同じ状態である場合、賃金、教育訓練、福利厚生施設等の待遇について、差別的取扱いが禁止されています。
通常の労働者を募集する場合にその募集内容を既に雇っているパートタイム労働者に周知する等、パートタイマーから通常の労働者へ転換するための措置を講じなければなりません。
パートタイマーから苦情の申出を受けたときには、事業所内の苦情処理制度や人事担当者、短時間雇用管理者が担当するなどして、事業所内で自主的な解決を図ることに努力しなければなりません。
社会保険労務士法人かとう事務所は、全国社会保険労務士連合会より、社会保険労務士個人情報保護事務所の認証(SRP認証)を受けました。
社会保険労務士
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